集まれデジタルデザイナー!
D-EGGS PROJECTを活用してそのイマジネーションを現実に!
2021年1月12日(火)、広島県主催「バーチャルワールドプロジェクト~ニューノーマル時代のプロスポーツ~」オンラインシンポジウムが開催された。これは広島県が2018年から取り組んでいるデジタル技術を使った実証実験プロジェクト「ひろしまサンドボックス」のネクストステップとして行われる「D-EGGS PROJECT」のイントロダクションとなるイベント。その内容は講演とパネルディスカッションの2部構成となっていた。
まずプログラムの第一部は建築家・豊田啓介氏によるオンライン講演。デジタル技術を活用してデザイン・設計・構造などの制作を行う「コンピューテーショナルデザイン」の第一人者である豊田氏は、数々の映像を見せながらデジタルとフィジカルの融合が進む現場の様子を紹介していく。コンピュータゲームの開発ソフトを用いた実際の家屋の設計、現存する建築物を3Dスキャンしてその中をVRで動き回る映像……その報告はどれも興味深いものだったが、その中で豊田氏が強く提唱したのが「コモングラウンド」という考え方だった。
情報(インフォメーション)と物質(マテリアル)の境目が限りなく接近する中、今後はバーチャルワールドとリアルワールドに次ぐ第3の世界として、その双方が乗り入れする共有基盤「コモングラウンド」が必要になるという。そしてそれは2025年の大阪・関西万博でのスマートシティ実現を目指してすでに実装も進められているという……DXの最先端を走る豊田氏の語る“近未来図”はデジタル技術の無限の可能性に目を開かせ、こちらの想像力を刺激する格好の起爆剤となった。
そんな話題を踏まえた上で、第二部はパネルディスカッションが行われた。ファシリテーターはこのプロジェクトの旗振り役である湯﨑英彦知事が自ら務め、パネラーには豊田氏に加え、サンフレッチェ広島アンバサダーの森﨑浩司氏、広島ドラゴンフライズ代表取締役社長の浦 伸嘉氏が参加した。
ニューノーマル時代の新たなスポーツ観戦スタイルとはどのようなものか? デジタル技術を駆使することでスポーツ王国・広島の魅力をさらに拡張することはできないか?――ディスカッションでは現在開発が進められている「バーチャルワールド広島」の映像を見ながら(アバターがカープ、サンフレッチェ、ドラゴンフライズの専用ルームを楽しみ、イベントホールでは最大5,000人の観戦が可能!)、活発な意見が交わされた。特にサンフレッチェは新サッカースタジアム、ドラゴンフライズは新アリーナ構想を打ち出していることもあり、リアルとバーチャルの楽しみ方をいかに会場施設に実装するかという話題ではおおいに盛り上がった。
「バーチャルワールド広島」は今年2月下旬のグランドオープンを目指して目下開発が進められている。イベントでは最後、湯﨑知事から「こうしたアイデアの実現には、自ら課題を見つけ、そのソリューションをユーザー視点でデザインしていくクリエイターの力が必要です」という呼びかけがあった。今まさにアイディアを募集している「D-EGGS PROJECT」を活用し、デジタルのチカラによって未来を創っていく“デジタルデザイナー”の出現を広島は待っている。このプロジェクトにおいて、今回のシンポジウムでのメインテーマとなった“スポーツ”枠を急遽設定することも決まったので、我こそはと思う方はぜひこの機会を逃さないでほしい!